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研究開発・学会発表

診療・治療

着床前胚染色体異数性検査実施後の出生前検査の希望状況と予後に関する報告

  • 日本産科婦人科遺伝診療学会
  • 2023/12/15~12/16 ウインクあいち
  • 着床前胚染色体異数性検査実施後の出生前検査の希望状況と予後に関する報告
  • 中原恵理
    苔口昭次、岡本恵理、金城ちなつ、塩谷雅英

【背景・目的】
着床前胚染色体異数性検査(以下、PGT-A:Preimplantation genetic testing for aneuploidy) 実施胚を用いて妊娠した場合、胎児が染色体疾患を持つ可能性は低いが皆無ではない。そこで本研究では、PGT-A実施胚を用いて妊娠した夫婦のその後出生前検査の希望状況ならびに予後調査を行うことで傾向を把握し、今後の遺伝カウンセリング(以下、GC)の参考とすることを目的とした。

【対象】
2020年4月から抄録作成時点までにPGT-A実施胚を用いて妊娠し、経過報告のあった25例。【方法】対象の出生前検査の希望状況ならびに予後について、診療情報を基に後方視的に解析を行った。なお、本研究は当院倫理委員会にて承認を得て実施している。
【結果】妊娠後にGCを希望したのは36.0%(9/25)であった。GC希望群と非希望群では、移植時母体年齢、流産歴の有無、妊娠に至るまでの採卵回数、移植回数などの背景に有意差を認めなかった。PGT-Aによる評価がA判定の症例では33.3%(5/15)がGCを希望し、が出生前検査を受検した。一方、B判定の症例では40.0%(4/10)がGCを希望し、50.0%(2/4)が出生前検査を受検した。PGT-A実施背景別では、反復体外受精胚移植不成功例では42.9%(6/14)がGCを希望し、が出生前検査を受検していた。一方、反復流産例では12.5%(1/8)、均衡型転座保因者例ではがGCを希望したが、いずれも出生前検査の希望はなかった。出生前検査を受検した3例はいずれも検査において染色体疾患の可能性は低いと判断され、その後健常児を出産している。経過報告のあった25例中24例が生産しており、1例に停留精巣を認めたほか、出生後に染色体間挿入の保因者と診断された1例があった。

【結語】
背景に関わらずPGT-A実施者の6割以上が妊娠後GCを希望していなかった。また、最終的に出生前検査を受検したのはわずか3例であり、PGT-Aの評価に対する信頼感の高さがうかがわれた。一方でPGT-Aでは検出できない染色体間挿入例も経験し、PGT-Aの限界に対する説明の重要性を再認識することとなった。以上のことから、背景よりも各クライエントの不安に寄り添い、自律的な選択を支援することが重要であると考えられた。

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