英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

無精子症患者におけるMESAの有効性について

  • 日本IVF学会
  • 2023/11/2~11/4 大阪国際会議場
  • 無精子症患者におけるMESAの有効性について
  • 唐津 円
    片田雄也、古橋孝祐、江夏徳寿、伊藤宏一、岡本恵理、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】
無精子症に対する治療として、精巣内精子回収法(TESE: testicular sperm extraction)は広く行われており、結果についても多くの報告を認める。一方で、精巣上体精子回収法(MESA: microscopic epididymal sperm aspiration)を実施する施設は限られており、結果に関する報告はあまり多くない。今回、我々はMESAの有効性について後方視的検討を行ったので報告する。

【対象・方法】
2021年1月から2022年9月において、当院にてTESE症例142例(144周期)とMESA症例33例(43周期)より得られた精子を用いて顕微授精を実施した患者を対象とした。MESAの33例は全例TESEとの併施であった。検討項目は、受精率、分割率、胚盤胞発生率、良好胚盤胞率とした。良好胚盤胞はGardner分類のG3BB以上とした。

【結果】
TESE群とMESA群の培養成績は、それぞれ2PN率55.2%(487/882) 、 71.1%(214/301)、1PN率8.4%(74/882) 、5.0%(15/301)、3PN率3.4%(30/882)、 2.7%(8/301)、分割率82.5%(506/613) 、92.0%(218/237)、胚盤胞発生率33.1%(143/432) 、48.9%(87/178)、良好胚盤胞率30.8%(44/143) 、21.8%(19/87)となり、2PN率、分割率、胚盤胞発生率においてMESA群が有意に高値を示した。

【考察】
 TESEと比較し、MESAでは運動能が高い精子の割合が多く、より成熟した精子を回収できることから、2PN率、分割率、胚盤胞発生率において有意に高い結果が得られた可能性が考えられる。この結果より、閉塞性無精子症などの症例においては、TESEに加えてMESAも並行して施行することが培養成績の向上に有効である可能性が示唆された。

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