診療・治療
【発表の概要】
【目的】
近年、タイムラプス観察システムにより、胚発生における動的解析が容易となっている。そこで、今回我々は、 EmbryoScope® Time-lapse System(以下EmbryoScope)を用いた胚観察により、胚盤胞発生における予測因子の検討をおこなった。
【方法】
2012年12月~2013年1月において、年齢が38歳以下及び採卵回数が1回~3回におけるICSI実施症例で、且つICSI卵数が4個以上の全胚凍結症例16症例、85個の胚を対象とした。ICSI実施後、撮影時間20分間隔で、採卵後6日目まで培養し、前核消失時間と第1分割時間及び第2分割時間について解析をした。
【成績】
胚盤胞発生群(34個)と非胚盤胞発生群(29個)別に、平均前核消失時間(時間)±SDは、25.6±3.9と30.1±5.4、平均第一分割時間(時間)±SDは、28.3±4.2と33.0±5.7、平均第二分割時間(時間)±SDは、40.9±5.1と46.6±7.2で、全ての項目において胚盤胞発生群の方が非胚盤胞発生群と比較し、5-6時間有意に早かった。
良好胚盤胞群(8個)と不良胚盤胞群(26個)別に、平均前核消失時間(時間)±SDは、23.3±1.5と26.3±4.2、平均第一分割時間(時間)±SDは、25.8±1.7と29.1±4.5、平均第二分割時間(時間)±SDは、37.1±2.1と42.1±5.2で、全ての項目において良好胚盤胞群の方が不良胚盤胞群と比較し、3-4時間有意に早かった。
【結論】
EmbryoScopeによる胚観察において、前核消失時間と第1分割時間及び第2分割時間は、胚盤胞発生、良好胚盤胞発生の予測因子としてなり得ることが示唆された。今後も更に検討を実施し、臨床の一助として用いるようにしていきたい。