診療・治療
【目的】 抗リン脂質抗体症候群は不育症の主な原因の一つである。診断基準案の検査項目である抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラントが有名だが、近年その他の抗リン脂質抗体が報告されている。今回、流産を繰り返している患者における各種の抗リン脂質抗体検査陽性率とその後の抗凝固療法の効果につき検討した。
【対象】 2007年6月から2007年8月までに当院を受診し、2回以上の流産歴があり、抗リン脂質抗体と第12因子を検査した67症例
【結果】 症例67例中、52例(78%)に1項目以上の抗リン脂質抗体陽性または第12因子の異常が認められた。診断後妊娠し、抗凝固療法が施行された34症例中24例(71%)が分娩または妊娠継続し、10例(29%)が流産した。
【結語】 流産を繰り返している患者における抗リン脂質抗体陽性例は78%と高率だった。診断後の妊娠に対して抗凝固療法を行い、71%が分娩または妊娠継続中である。抗PE抗体等のリン脂質抗体検査を積極的に実施することは有意義であると考えられた。