診療・治療
【発表の概要】
【目的】ARTにおいて胚が2個または3個しか得られない周期に対し、初期胚移植と比較し2段階胚移植は有用か否かを後方視的に検討した。
【方法】2000 年8月~2002年12月にARTを施行し、day2に胚が2個または3個しか得られなかったが、得られた胚は全て形態良好であった周期を対象とした。胚が2個得られた周期のうち、2段階胚移植は31周期に施行し(2段階群)、初期胚移植は35周期に施行した(初期胚群)。2段階群ではday2に初期胚1 個を移植しday5に胞胚1個を移植した。初期胚群ではday2に初期胚2個を移植した。一方、胚が3個得られた周期のうち、2段階胚移植を29周期に施行し(2段階群)、初期胚移植を16周期に施行した(初期胚群)。2段階群ではday2に初期胚を2個、day5に胞胚を1個移植した。初期胚群では day2に初期胚3個を移植した。2段階群には胞胚が得られず2段階目の移植がキャンセルになった周期も含む。
【成績】臨床妊娠率は、胚が2個得られた周期において、2段階群で35.5%(11/31)であり初期胚群の25.7%(9/35)と比較して統計学的有意差は認めなかったが高い傾向にあった。胚が3個の周期では、2段階群で41.4%(12/29)であり初期胚群の12.5%(2/16)と比較して有意に高率であった。
【結論】胚が2個または3個しか得られない周期に対して、2段階胚移植は初期胚移植と比較して高い妊娠率を得ることができる有用な移植法であることが示唆された。