英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第60回 日本産科婦人科学会総会・学術講演会

  • 血清クラミジア抗体陽性不妊患者の卵管通過性異常と妊娠率の検討
  • 平成20年4月12日~15日 パシフィコ横浜
  • 第60回 日本産科婦人科学会総会・学術講演会
  • 苔口 昭次、松永 雅美、後藤 栄、姫野 清子、棚田 省三、塩谷 雅英
    英ウィメンズクリニック

【発表の概要】

【目的】クラミジア(以下CL)感染は卵管通過性障害を起こし不妊症発生の原因となことは知られている。今回われわれは、CL抗体(IgA,IgG)別陽性例の卵管異通過性異常や妊娠率を検討した。

【方法】対象は2005年4月から2年間でCL抗体検査(EIA法:カットオフ値0.9以下)陽性患者のうち、子宮卵管造影検査(HSG)をおこないその後経過を観察した242例である。平均年齢32.8歳、平均不妊期間2年2カ月、CL抗体IgA(+)IgG(-)(以下A群)35例、CL抗体 IgA(+)IgG(+)(AG群)111例、CL抗体IgA(-)IgG(+)(G群)96例である。

【成績】CL 抗原陽性率はA群0%(0/35)、AG群11.7%(13/111)、G群1.0%(1/96)。自然妊娠例はA群54.3%(19/35)、AG群 33.3%(37/111)、G群27.1%(26/96)(A-AG群間:p<0.05、A-G群間:P<0.01)。流産率は、A群 15.8%(3/19)、AG群24.3%(9/37)、G群7.7%(2/26)。子宮外妊娠率はそれぞれA群1例(2.8%)、AG群0例(0%)、 G群2例(7.7%)であった。HSGによる卵管通過性異常の割合は、A群で40.0%(14/35)、AG群では68.5%(76/111)、G群 75.0%(72/96)。それらのうち両側卵管閉塞はA群0%(0/35)、AG群23.4%(26/111)、G群16.6%(16/96)、卵管水腫はA群0%(0/35)、AG群12.6%(14/111)、G群13.5%(13/96)に発症していた。卵管水腫例以外に実施した卵管鏡下卵管形成術(FT)35例での改善率および妊娠率はそれぞれA群で100%(3/3)、40.0%(2/5)、AG群で42.9%(3/7)、28.6%(4 /14), G群13.3%(2/15)、12.5%(2/16)。

【結論】CL 抗体陽性で卵管通過性異常は高い頻度で認められるため、CL抗原検査陰性例でもCL抗体検査は必要である。IgG陽性例ではIgAの結果に関係なく卵管通過性や卵管水腫を同程度に起こし、FT後でも妊娠率は低い傾向が認められた。CL抗体IgA単独陽性例は、両側卵管閉塞や卵管水腫はなく、卵管通過性障害は少ないので積極的にタイミングなど治療を勧めることがよい。

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