診療・治療
【発表の概要】
【目的】凍結融解胚移植におけるLaser assisted hatching (LAH)の効果を前方視的に検討した。
【方法】2010年3月〜2010年7月までに凍結胚盤胞を融解し、1個移植を実施した413周期を対象とした。検討1:凍結胚盤胞1個移植413周期を対象とし、レーザーにより透明帯の全周の1/4を開口してから移植した群(1/4開口群)、1/2を開口してから移植した群(1/2開口群)、1/2を開口した後にピペッティングにより透明帯から完全に脱出させて移植した群(脱出群)の3群に分類し妊娠成績を検討した。検討2:凍結胚盤胞1個移植413周期のうち、移植した胚盤胞のグレードが、 Gardner分類3AA以上と 3AA未満の2群に分けてその妊娠成績を検討した。
【成績】検討1:臨床妊娠率はそれぞれ1/4開口群が36.8%(53/144)、1/2開口群が38.0%(54/142)、脱出群が41.7%(53/127)となり、脱出群において高い臨床妊娠率が得られた。しかし、各群において有意差は認められなかった。検討2:胚盤胞のグレード別に検討した胚盤胞1個移植におけるLAH法別の検討では、Gardnerのグレード分類3AA以上と3AA未満の臨床妊娠率はそれぞれ1/4開口群53.0%(35/66)、23.1%(18/78)、1/2開口群42.3%(22/52)、35.6%(32/90)、脱出群54.7%(29/53)、32.4%(24/74)であった。グレード分類3AA以上では、脱出群において妊娠率が高い傾向を認めたが、各群において有意差は認められなかった。
【結論】本研究では、レーザーによる透明帯の開口の範囲は、妊娠成績に大きな影響を与えない事が示唆された。また、全周の1/2を開口した後にピペッティングにより透明帯から完全に脱出させて移植することで妊娠率が向上する傾向を認めたが、統計学的有意差はなく、今後さらに症例を増やして検討する必要があるものと考えられた。