診療・治療
【発表の概要】
【目的】
Time-lapse System(以下TLS)を用いた胚の評価において、割球分割のタイミングと移植後の妊娠率の間に関連があるとの報告がなされており(Meseguer et al., 2011.)、このTLSを用いる事で、非侵襲的に予後良好な移植胚を選択できる可能性がある。そこで今回我々はMeseguerらの報告に基づき、2-3細胞の時間(cc2)、3-4細胞の時間(s2)、ICSI後5細胞到達時間(t5)と臨床妊娠率との間に関連性があるかどうか検討したので報告する。
【方法】
検討期間は2012年12月~2013年12月、年齢38歳以下および採卵回数3回以下のICSI実施症例で、凍結融解胚移植を実施した49周期を対象とした。ICSI後、Universal IVF Medium(Origio)とGlobal(Life Global)を用いてTLSにて培養し、cc2(h)を11.9未満と以上に、s2(h)は0.76未満と以上に、t5(h)は44.8~55.6以内と以外に、それぞれ分け臨床妊娠率を検討した。
【結果】
臨床妊娠率は、cc2(h)が11.9未満では35.3%(12/34)、11.9以上は40.0%(6/15)、s2(h)が0.76未満では55.6%(10/18)、0.76以上は25.8%(8/31)、t5(h)は44.8~55.6以内では50%(13/26)、以外は21.7%(5/23)であった。s2(h)は0.76未満で、t5(h)は44.8~55.6以内で、それぞれその範囲外と比較し臨床妊娠率が有意に高率となった(p<0.05)。
【結論】本検討から3-4細胞の時間(s2)とICSI後5細胞到達時間(t5)が臨床妊娠率を予測する指標になり得ることが判明した。今後も症例を増やしていき、Time-lapse Systemで得られる指標と治療成績との関連を検討し、移植胚選択の一助としていきたい。