診療・治療
【発表の概要】
【目的】
凍結胚盤胞を用いた融解胚移植において、融解・回復培養後の形態評価(Gardner分類)が凍結時の形態評価よりも高いもの、同一のもの、低くなるものと様々である。そこで、凍結時の形態評価と融解・移植時の形態評価を比較し、両者の相違が移植後の生児獲得率に与える影響について検討を行ったので報告する。
【方法】
2011年1月~2012年12月にホルモン補充周期を利用して融解した胚盤胞を1個移植した2425周期を検討対象とした。融解後の回復培養は3時間に固定した。検討項目は、凍結時の形態評価と融解回復培養後の形態評価に相違のあった胚の割合、および凍結時の胚盤胞のグレード別に検討した融解回復培養後のグレード別生児獲得率である。
【結果】
胚盤胞のグレードが凍結時と比較し融解回復培養後に低下した胚盤胞の割合は39.0%、同一であった割合は38.6%、上昇した割合は22.4%であった。胚盤胞のグレード(G)別の生児獲得率は、凍結時G1(n=229)では、移植時G1で10.8%、G1以上は19.0%、凍結時G2(n=576)では、移植時G1で11.5%、G2で17.0%、G3以上は35.7%、凍結時G3(n=760)では、移植時G2以下で23.3%、G3で31.3%、G4以上は47.5%、凍結時G4(n=860)では、移植時G3以下で35.2%、G4で48.5%、G5以上は47.9%であった。
【結論】本検討により、融解回復培養後の形態評価が凍結時と同じか上昇する胚がおよそ2/3を占めることが判明した。しかし、1/3の胚は回復培養後の形態評価が低下しており、これら低下した胚では生児獲得率が低い傾向を認め予後を予測する因子の一つになり得ると考えられる。今後は、融解回復培養後に形態評価が低下する胚を減らす工夫、さらに、これらの胚の予後を改善する方法について研究していきたい。