診療・治療
【発表の概要】
【目的】卵管性不妊に対する卵管鏡下卵管形成術の有用性をFT後の完遂率,妊娠に至る期間,およびその妊娠率について検討した.また卵管障害部位別および卵管子宮口部異常別FT後妊娠率を調べた.
【方法】対象は平成15年1月から平成16年3月までに当院にてFTを施行し6カ月以上の経過観察を行い得た90例である.平均年齢33.6歳,平均不妊期間は 4.1年であった.FTの適応はHSGにて閉塞あるいは狭窄例である.また子宮鏡で卵管子宮口部に膜状閉塞や狭窄を認めた場合,卵管子宮口部異常としそれらの妊娠率への関連を調べた.
【成績】FT 完遂率は卵管別91.5%,症例別で96.4%,FT後の妊娠率は32.2%で,妊娠までの平均期間は3.4カ月であった(子宮外妊娠1例).年齢別では 20歳代後半53.8%,30歳代前半40%,30歳代後半23.0%,40歳以上0%であった.FT後の妊娠成立は6カ月までで90%を占め,妊娠例の 62.1%(18/29)は通水・AIH併施例である.卵管障害部位別妊娠率は間質部で3/10(30%),卵管狭部・膨大部18/58(31%),卵管采部8/22(36.4%)であった.また卵管子宮口部異常別妊娠率は異常例31.8%,正常例29.2%であった.
【結語】 1.40歳未満のFT後妊娠率は高く,40歳未満の症例ではARTを選択する前に積極的にFTを試す価値がある.2.FT後に妊娠に至るまでの平均期間は 3.4カ月であり,FT後は早期妊娠成立にむけて通水・AIHの治療を併施する事が望ましいと考えられる.3.卵管障害部位別および卵管子宮口部異常別の FT後妊娠率には差がなかった.