診療・治療
【発表の概要】
【目的】ARTにおいて胚が2個または3個しか得られない周期に対し、初期胚移植と比較し2段階胚移植は有用か否かを検討した。
【方法】2000 年8月~2003年7月にARTを施行し、day2に胚が2個または3個しか得られなかったが、得られた胚は全て形態良好であった周期を対象とした。胚が 2個得られた周期のうち、2段階胚移植は39周期に施行し(2段階群)、初期胚移植は35周期に施行した(初期胚群)。2段階群ではday2に初期胚1個を移植しday5に胞胚1個を移植した。初期胚群ではday2に初期胚2個を移植した。一方、胚が3個得られた周期では、2段階胚移植を36周期に施行し(2段階群)、初期胚移植を18周期に施行した(初期胚群)。2段階群ではday2に初期胚を2個、day5に胞胚を1個移植した。初期胚群ではday2 に初期胚3個を移植した。
【成績】胚が2個の周期では、2段階群における2段階目の移植がキャンセルとなった周期は15周期でありキャンセル率は38.5%(15/39)であった。しかし、キャンセル周期を含めても2段階群の臨床妊娠率は38.5%(15/39)であり、初期胚群の 25.7%(9/35)と比較して高い傾向にあった。胚が3個の周期では、2段階群における2段階目の移植キャンセル率は19.4%(7/36)であった。臨床妊娠率は2段階群で44.4%(16/36)であり初期胚群の16.7%(3/18)と比較して有意に高率であった。
【結論】胚が2個または3個しか得られない周期に対して、2段階胚移植は初期胚移植と比較して高い妊娠率を得ることができる有用な移植法であることが示唆された。