英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第55回 日本卵子学会学術集会

  • ホルモン補充周期凍結融解胚移植における子宮内膜局所刺激の有用性の検討
  • 平成26年5月17日~18日  神戸国際会議場
  • 第55回 日本卵子学会学術集会
  • 矢田桃子、松本由紀子、緒方洋美、梶原綾乃、十倉陽子、岡本恵理、緒方誠司、山田聡、水澤友利、苔口昭次、塩谷雅英

【発表の概要】

 

【目的】

子宮内膜への移植前の局所刺激は、着床率上昇につながるという報告があるが、多くは新鮮胚移植症例である。そこで、今回我々は、ホルモン補充周期における凍結融解胚移植症例において、内膜局所刺激の有効性について検討したので報告する。


【方法】

2013年2月~7月でホルモン補充での凍結融解胚移植施行した862名を対象とした。
移植周期前周期のいずれかの時期に内膜細胞診キット(エンドサイト)を用いて、内膜刺激を行い、内膜刺激を施行した263例と施行していない599例に分け、その後の移植における着床率、臨床妊娠率について検討した。また、刺激時期、移植方法、移植回数別でも比較検討した。内膜刺激は検討期間中1回のみ施行とした。
結果:平均年齢36.9歳、平均移植回数2.5回であった。内膜刺激群とコントロール群でそれぞれ着床率49.0%(129/263)vs 57.4% (344/599)( P<0.05)、臨床妊娠率32.3%(85/263) vs 37.7%(226/599)(NS) であった。
内膜刺激群のうち、前周期の刺激施行時期別にみると、化学妊娠率は、卵胞期60.0%(3/5),
排卵期33.3%(1/3),黄体期前期51.2%(15/29),黄体期中期 48.8%(40/82)黄体期後期45.3%(49/108)、月経期 61.8%(21/34)であり、臨床妊娠率は卵胞期60.0%(3/5),排卵期33.3%(1/3)、黄体期前期37.9%(11/29)、黄体期中期26.8%(22/82)、黄体期後期30.6%(33/108)、月経期47.1%(16/34)であった。移植回数別に比較すると、移植回数1回の症例では、化学妊娠率が内膜刺激群53.8%(56/104) vsコントロール群61.2%(145/237)(NS)、臨床妊娠率は内膜刺激群36.5%(38/104) vsコントロール群45.1%(107/237) (NS)であった。反復移植不成功例(移植4回目以上)では化学妊娠率が内膜刺激群41.3%(26/63) vsコントロール群53.7%(65/121)(NS)、臨床妊娠率は内膜刺激群22.2%(14/63) vsコントロール群27.3%(33/121)(NS)であった。
 

【考察】

今回の検討では、内膜刺激における着床率の上昇は認められなかった。有効とする報告は、新鮮胚移植での検討が多く、また、メカニズムとしては内膜刺激に伴う炎症反応がその後の周期での着床に有効とする報告があるものの反応の持続性、最適刺激時期、刺激方法等は様々であり不明な点も多い。今回、有効な結果が得られなかった理由として、ホルモン補充による内膜の修復の可能性や、刺激が十分でない可能性等考えられ、今後、症例の選択、刺激の方法等を含め、再検討していきたい。


 

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