診療・治療
【目的】ホルモン補充周期における単一凍結融解胚移植後の判定日血中β-hCG値とその後の妊娠経過を検討することにより妊娠予後を予測しうるか。
【方法】2005年1月より2009年1月において、当院にてホルモン補充周期にて単一凍結融解胚移植を施行した症例のうち、妊娠判定日(ホルモン補充周期day30)に血中β-hCG 値(mIU/ml)を測定し、かつ妊娠後の転帰を確認し得た初期胚移植353例、胚盤胞移植397例を対象とし、hCG値別に妊娠後経過を比較検討した。
【結果】平均年齢は初期胚移植群36.2歳、胚盤胞移植群33.3歳 であった。臨床的妊娠例の平均hCG値は初期胚移植群380.9mIU/ml,胚盤胞移植287.4mIU/ml (p<0.05)であった。hCG値(mIU/ml)を10未満(A群),10以上50未満(B群),50以上100未満(C群),100以上200未満(D群),200以上300未満(E群),300以上400未満(F群),400以上500未満(G群),500以上(H群)と分類した。それぞれにおいての妊娠10週までの流産率は、初期胚移植群は、A群100%(284/284), B群86.7%(13/15), C群 80%(4/5), D群50%(3/6), E 群30%(3/10), F 群22.2%(2/9), G 群16.7 %(1/6), H群11.1%(2/18), 胚盤胞移植群は、A群100%(223/223), B群100%(40/40), C群95.7%(22/23), D63.6%(21/33), E 群25.0%(8/32), F 群33.3% (7/21), G 群18.2% (2/11), H28.6%(4/14)であった。
【結語】初期胚移植が胚盤胞移植と比較し平均hCG値はより高値となるのは、初期胚移植の方が着床時期が早いことを示すものと考えられた。流産率は初期胚移植群でhCG値100mIU/ml以上、胚盤胞移植群で200mIU/ml以上で50%以下となり、hCG値は妊娠予後の予測因子となりうる可能性が示唆された。