診療・治療
【発表の概要】
【目的】高倍率で精子選別を行う intracytoplasmic morphologically selected sperm injection (IMSI)は、従来のICSIと比較して良好胚率や妊娠率が向上するとの報告がある。そこでICSI後反復妊娠不成功症例に対しIMSIを実施し、過去のICSI培養成績と比較検討した。
【対象】2007年9月~2008年3月に、2回以上ICSIを実施後妊娠に至らなかった29症例に対してIMSI(48周期)を施行した。コントロールは同一症例の過去(2006年1月~2008年3月)のICSI周期(148周期)とした。
【方法】ICSIは精子を倒立顕微鏡200倍で運動性と形態を評価・選別し卵子へ注入した。IMSIは630倍または1000倍(微分干渉)にて精子頭部の形態的評価を詳細に行い選別した精子を卵子へ注入した。
【結果】IMSI 周期の平均年齢±SDは39.3±3.6才、平均採卵回数±SDは16±11回であった。過去のICSI周期とIMSI周期での成績はそれぞれ、受精率 66.1%(250/378)と65.4 %(87/133)、分割率98.0%(245/250)と94.3%(82/87)、良好分割期胚率48.6%(119/245)と54.9%(45 /82)、胚盤胞発生率29.5% ( 36/122 )と32.8% ( 20/61 )、胚移植周期当り妊娠率3.3% (3/92)と5.9% (1/17)となり有意差はなかった。day5の良好胚盤胞率はIMSI周期で30.0% (6/20)となりICSI周期2.8% (1/36)と比較して有意に高くなった(P<0.05)。
【考察】ICSI後反復妊娠不成功症例に対するIMSI実施により、day5での良好胚盤胞率が有意に高率となった。IMSIはICSI後反復妊娠不成功症例に対し胚発生の改善が期待できる有用な技術であることが示めされた。