診療・治療
【発表の概要】
【目的】IVF において媒精時間を短縮する事により多精子受精率が低下し胚の分割形態が改善するという報告がなされている。そこで媒精時間を従来通り20時間とした場合と2時間に短縮した場合で、受精率、多精子受精率、分割率、分割期良好胚率、胚盤胞到達率、良好胚盤胞率に差があるか検討した。
【方法】2005 年8月~2006年2月にIVFを施行し、採卵数が8個以上であった30症例471個の卵子を対象とした。同一症例の回収卵数の3分の2を20時間媒精に供し、残りの3分の1を2時間媒精に供した。採卵後3時間前培養後、精子濃度10万/mlにて媒精を行った。20時間媒精群では媒精20時間後に受精判定を行い、2時間媒精群は媒精2時間後に卵丘細胞除去し培養液を交換し20時間後に受精判定を行った。培養液は媒精から受精判定まではUniversal IVF Medium、受精後day2まではBlastAssist System1、day2からday5まではBlastAssist System2を使用し、5%CO2, 5%O2,90% N2、37℃にて培養を行った。
【成績】平均年齢33.3歳、平均ART回数1.4回、平均FSH値6.3mIU/mlであった。20時間媒精群と2時間媒精群でそれぞれ、受精率は68.6% (225/328)、63.6%(91/143)、多精子受精率8.0%(18/225)、13.2%(12/91)、受精卵当たり分割率90.7% (204/225)、89.0%(81/91)、初期胚当たり良好胚率55.9%(114/204)、54.3%(44/81)であり、新鮮胚当たり胚盤胞到達率は63.6%(7/11)、70.0%(7/10)、良好胚盤胞率42.9%(3/7)、42.9%(3/7)であり、2群間で有意差はなかった。
【結論】今回の検討では20時間媒精と2時間媒精とでは培養成績に差はなく、2時間媒精の有用性は認めなかった。