診療・治療
【発表の概要】
【目的】自然排卵周期に凍結融解胚移植を行った周期において、黄体期のホルモン補充療法の違いにより妊娠成績に差があるかを検討した。
【方法】2005 年1月~2006年3月に自然排卵周期で凍結融解胚移植を行った161周期を対象とした。黄体補充療法として、排卵後2、5、8日目にhCG3000IU を投与した17周期をA群、これらのhCG投与に加え排卵後2日目からプロゲステロン膣座薬(400mg/日)を連日投与した69周期をB群、hCG投与とプロゲステロン膣座薬に加え更に排卵後5日目からエストラダームM貼布剤を併用した75周期をC群とした。
【成績】平均年齢、平均ART回数、基礎FSH値、平均移植胚数はA群33.8歳、2.4回、6.6mIU/ml、1.9個、B群34.8歳、2.3回、 6.4mIU/ml、1.8個、C群34.5歳、2.1回、6.4mIU/ml、1.9個であり3群間で有意差はなかった。移植当たりの臨床妊娠率はA群 35.0%、B群47.8%、C群61.3%であり、A群と比較しC群は有意に高率であった。B群とC群で有意差はなかったがC群で高い傾向であった。着床率と流産率はA群30.6%、0%、B群31.6%、12.1%、C群43.3%、4.3%であり有意差はなかった。排卵後8日目の血中エストラジオール(E2)とプロゲステロン(P4)の平均値はA群339.4±234.8pg/ml、24.1±11.6ng/ml、 B群296.3±127.9pg/ml、30.4±9.6ng/ml、C群530.2±187.5pg/ml、28.8±9.2ng/mlであり、E2は A、B群と比較しC群が有意に高値であった。P4はA群と比較しB、C群が有意に高値であった。
【結論】自然排卵周期の凍結融解胚移植における黄体補充療法として、hCG投与に加えプロゲステロン膣座薬とエストラダームM投与の有用性が示唆された。