診療・治療
【発表の概要】
【目的】抗リン脂質抗体症候群は不育の主な原因の1つである。今回当院における抗リン脂質抗体検査陽性率につき検討した。
【対象】2004年4月から2005年3月までに、2回以上の流産歴があり不育検査を受けた54症例中、当院が行う抗リン脂質抗体検査7項目全てを受けた41症例を対象とした。
【結果】抗リン脂質抗体検査において異常(陽性)を33症例(80%)に認めた。その詳細はループスアンチコアグラント陽性0症例、CL-β2GPI陽性0症例、抗カルジオリピン抗体5症例、抗フォスファチジルイノシトール抗体陽性11症例、抗フォスファチジルエタノール抗体陽性22症例、抗フォスファチジルセリン抗体陽性11症例、第12因子陽性12症例であった。保険の適応があり多くの施設で施行されているループスアンチコアグラントや、CL-β2GPIの陽性検出率は低く、保険適応外の抗フォスファチジルエタノール抗体を主とした検査項目の陽性検出率は高かった。
【結論】 不妊患者における抗リン脂質抗体陽性例は一般に知られている以上に高率であり、抗フォスファチジルエタノール抗体等のリン脂質抗体検査を行うことは有意義であると考える。