診療・治療
【発表の概要】
われわれはこれまでに、マウスを用いて、胚が積極的に子宮内膜に働きかけて子宮内膜の胚受容能を高めることを in vivo および in vitroで明らかにしてきた。これは着床前の、胚による、胚受容に向けた子宮内膜分化であり、これを embryo-primingとして新しい概念を構築し、この臨床応用として2段階胚移植法(two-step embryo transfer;two-step ET)を考案した。two-step ETとは、IVF-ETの胚移植において採卵後2日目にembryo-primingのための胚を2個移植し、その他の胚はさらに培養を続け5日目に胞胚を1個移植する胚移植法である。IVF-ET施行症例のうち受精後2日目に2細胞期以上のを4個以上有するものをtwo-step ET適応症例とし、インフォームドコンセントが得られた70症例(77周期)に対してtwo-step ETを行い、two-step ET適応基準を満たしているが従来通り受精後2日目に3個の胚を移植した33症例35周期(conventional ET)と比較した。臨床妊娠率は two-step ET、conventional ETでそれぞれ胚移植あたり67.5%(52/77)、40.0%(14/35)であり、two-step ETにおいて有意に高い成績を得ることができた。two-step ETは高い妊娠率を得ることができる有効な胚移植法であることが示唆された。