診療・治療
【発表の概要】
【目的】われわれはこれまで2段階胚移植の適応をday2に4個以上の胚を有する周期としていたが、今回、胚が2個または3個しか得られない周期に対して、初期胚移植と比較し2段階胚移植は有用か否かを検討したので報告する。
【方法】2000 年8月~2002年12月にARTを施行し、胚が2個または3個しか得られなかった276周期を対象とした。胚が2個得られた148周期のうち、同意を得て2段階胚移植を53周期に施行し(2段階群)、初期胚移植を95周期に施行した(初期胚群)。2段階群ではday2に初期胚1個を移植しday5に胞胚 1個を移植した。初期胚群ではday2に初期胚2個を移植した。一方、胚が3個得られた128周期のうち、2段階胚移植を75周期に施行し(2段階群)、初期胚移植を53周期に施行した(初期胚群)。2段階群ではday2に初期胚2個を移植しday5に胞胚1個を移植した。初期胚群ではday2に初期胚3 個を移植した。なお、2段階群は継続培養にて胞胚が得られず2段階目の移植がキャンセルになった周期も含む。
【成績】両群において、年齢、不妊期間に有意差は認めなかった。胚が2個得られた周期において、臨床妊娠率は2段階群で32.1%(17/53)であり初期胚群の 16.8%(16/95)と比較して有意に高率であった。2段階群において20周期が2段階目の移植がキャンセルになった。胚が3個得られた周期においては、臨床妊娠率は2段階群で34.7%(26/75)であり、統計学的有意差は認めなかったが初期胚群の22.2%(12/53)と比較して高い傾向にあった。2段階群において16周期が2段階目の移植がキャンセルになった。
【結論】胚が2個または3個しか得られない周期に対して、2段階胚移植は初期胚移植と比較して高い妊娠率を得ることができる有用な移植法であることが示唆された。