診療・治療
【発表の概要】
【目的】二段階胚移植においてDay5での胚移植を施行する際には、胚盤胞に発生した胚を選別し移植を行う。しかしDay5に胚盤胞に発生した胚が得られない症例では、二段階目の移植としてDay5で桑実胚が得られればそれを移植するか、あるいはDay6まで培養を継続しDay6で胚盤胞が得られればその胚を移植に供している。そこで今回我々はDay5で胚盤胞が得られなかった症例に対し、Day5で桑実胚を移植するかあるいはDay6まで培養を継続し胚盤胞を移植するか、どちらの妊娠成績が良いかを後方視的に検討した。
【方法】2000 年3月~2005年12月28日に当院において二段階胚移植を行った周期のうちDay5には胚盤胞に発生せずDay5に桑実胚移植をした40周期(M群) と、Day6に胚盤胞を移植した223周期(B群)について検討した。両群ともDay2又はDay3では1個又は2個の初期胚を移植した。さらに両群をサブグループとして、Day2又はDay3に初期胚を1個移植しDay5で桑実胚を1個移植した19周期(M-Ⅰ群)、Day2又はDay3に初期胚を1個移植し、Day6にて胚盤胞を1個移植した67周期(B-Ⅰ群)に分け、それぞれ検討を行なった。
【結果】平均年齢はM群では37.4歳、B群では34.9歳であり平均ART回数は、M群では2.7回、B群では2.3回であり有意差は認めなかった。移植当たりの妊娠率は、M群では17.5%(7/40)、B群では26.0%(58/223)であり有意差は認めないもののB群で高い傾向が認められた。更に、M-Ⅰ 群では平均年齢が37.2歳、B-Ⅰ群では35.0歳、平均ART回数は、M-Ⅰ群では2.9回、B-Ⅰ群では2.0回であり有意差は認めなかった。移植当たりの妊娠率は、M-Ⅰ群では15.8%(3/19)、B-Ⅰ群では23.9%(16/67)であり有意差は認めないもののB-Ⅰ群で高い傾向が認められた。
【結論】二段階胚移植において、Day5に胚盤胞が得られない症例では、Day6まで継続培養し得られた胚盤胞を移植する方が、Day5に桑実胚を移植するより高い妊娠率が得られる事が示唆された。今後もさらに詳しく検討していく考えである。