診療・治療
【発表の概要】
凍結融解胚盤胞移植でのレーザーによる補助孵化療法(AHA)の有用性を後方視的に検討した。
2001年11月〜2008年7月までに凍結時のGrade1~4(Gardner分類)の胚盤胞を凍結融解し、AHA施行後移植した1090周期 (AHA群)とAHAを施行せず胚移植した95周期 (AHA無群)を比較した。AHAは融解後回復培養前に透明帯周囲1/3をレーザーで開口した。AHA群とAHA無群の38才未満における胚移植当り臨床妊娠率は、それぞれ胚移植回数1-2回目では53.7%と68.6% (P<0.05)、3-4回目47.1%と54.5% (NS)、5回目以上では全周期AHAをしていた。一方、38才以上での妊娠率は1-2回目が27.4%と25.0% (NS)、3回目以上29.3%と100.0% (NS)となった。38才未満で移植1-2回目の周期においてGrade3及び4のinner cell massとtrophoectodermのいずれかにGradeCを含む胚を移植した周期の妊娠率はAHA群が48.6%で、AHA無群25.0%と比較し高い傾向であった。
本研究においてAHAはGradeCの胚盤胞に対しては有効である可能性はあったが、それ以外では有用性を認めなかった。今後、前方視的な研究が必要である。