診療・治療
【発表の概要】
【目的】多胎予防の観点から、単一胚盤胞移植(SBT)と二個胚盤胞移植(DBT)の適応基準を検討した。
【方法】2003年1月~2007年5月に凍結融解胚を用いてSBTを実施した753周期とDBT 301周期を対象とした。
【結果】年齢別の妊娠率は、20~29歳、30~34歳、35~36歳、37~38歳、39~40歳、41~42歳、43歳以上の順にSBTとDBTで72.7% (56/77)と77.7% (21/27)、53.4% (149/279)と59.6% (62/104)、47.2% (67/142)と48.0% (24/50)、43.0% (49/114)と51.1% (23/45)、27.4% (20/73)と45.7% (21/46)、25.0% (11/44)と25.0% (5/20)、25.0% (6/24)と11.1% (1/9)であった。39歳以上ではDBTの妊娠率はSBTに比し有意に高率であった。DBT の多胎率は年齢区分順に23.8%、27.4%、16.7%、17.4%、14.3%、0%、0%であった。ART回数別妊娠率は、1~3回と4回以上の順にSBTとDBTで52.3%(268/512)と59.2%(103/174)、46.7%(56/120)と47.4%(27/57)、44.2% (19/43)と36.8%(7/19)、19.2%(15/78)と39.2%(20/51)で、4回以上ではDBTの妊娠率はSBTに比し有意に高率となった。DBTの多胎率はART回数順に26.2%、3.7%、42.9%、10%であった。
【結論】年齢が38歳以下又はART回数3回以下ではSBTとDBTで妊娠率に有意差が無く、SBTを実施すべきである。39歳以上又はART回数4回以上では DBTの妊娠率はSBTに比し有意に高率であったが多胎率が0%では無い為、DBTの実施には慎重になる必要性が示唆された