英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第38回 関西アンドロロジー学会

  • 顕微授精成績における臨床的検討―精子側因子について―
  • 平成21年3月14日 大阪市立大学医学部 中講義室
  • 第38回 関西アンドロロジー学会
  • 橋本洋美1, 2、石川智基2、後藤栄1、苔口昭次1、藤澤正人2、塩谷雅英1          英ウィメンズクリニック1、神戸大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学分野2

【発表の概要】

【目的】顕微授精(ICSI)は男性不妊症の治療において重要な位置を占めている。今回、精子側の要因がICSIの治療成績に与える影響を検討する目的で精子濃度及び運動率が治療成績におよぼす影響を後方視的に検討した。精巣精子での治療成績も合わせて比較検討した。

【方法】対象は2007年12月までにICSIを実施した1910周期で、卵子側要因を小さくするため妻年齢を38歳未満とした。これらを次の通りA〜Dの5群に分けて検討した。A群;精子濃度2000万/ml以上(n=1007)、B群;1000-1999万/ml(n=235)、C群1000万未満/ml(n=477)、D群;閉塞性無精子症(n=131)、E群;非閉塞性無精子症(n=60)。さらに射出精子での治療周期を、精子運動率40%未満と40%以上にわけて成績を比較した。

【結果】胚移植あたりの臨床妊娠率および着床率はそれぞれA群;35.5%、21.2%、B群;37.0%、22.4%、C群;35.8%、21.3%、D群;38.2%、21.1%、E群;35.0%、20.0%であり、各群間で有意差を認めなかった。流産率も各群間で有意差を認めなかった。次にA、B、C群において精子運動率40%以上と40%未満で治療成績を比較したところ、C群においては精子運動率40%以上の場合、臨床妊娠率が41.1%であったのに対して精子運動率40%未満では臨床妊娠率32.7%となり有意に低率となった(p=0.05)。A群とB群では運動率による治療成績の差は認めなかった。

【結論】今回の検討ではICSIの治療成績に精子濃度や、射出精子であるか精巣精子であるかという事は大きな影響をおよぼさない事が示唆された。しかし、精子濃度1000万/ml未満の高度乏精子症例においては、精子運動率が40%未満になると治療成績が低下することが明らかとなった。高度乏精子症でかつ低運動率の症例のICSIに際しては、より慎重に精子選別を行うなどの対策を講じる必要があるものと考える。

診察ご予約は
こちら
さんのみや診療予約
loading