診療・治療
【発表の概要】
【目的】AIHの有用性について精液原液所見別および女性年齢別に検討を行った。
【方法】2004年6月1日~2007年5月31日にAIHを施行した2202症例、6489周期を対象とした。射出精子をマクラー計算盤にてカウントを行い、洗浄濃縮を行った上で子宮腔内へ注入した。
【成績】妊娠率は周期当たりで7.6%(490/6489)、症例当たりでは22.3%(490/2202)であった。運動精子濃度別の周期当たりの妊娠率は 1000万/ml以上で8.4%(455/5435) 、1000万/ml未満で3.3%(35/1054)となり、1000万/ml以上で有意に高率であった(P<0.001)。年齢別の症例当たりの妊娠率を、ROC曲線を用いて検討したところ、34歳がcut off値となり、妊娠率は34歳以下で30.8%(342/1110)、35歳以上で13.6%(148/1092)と34歳以下で有意に高率であった (P<0.001)。また運動精子濃度及び年齢が、1000万/ml以上かつ34歳以下で34.2%(319/932)、1000万/ml以上かつ 35歳以上で15.1%(136/900)、1000万/ml未満かつ34歳以下で12.9%(23/178)、1000万/ml未満かつ35歳以上で 6.3%(12/192)であった。施行回数における累積妊娠率は、運動精子濃度1000万/ml未満、1000万/ml以上、及び年齢34歳以下、35 歳以上の全ての群において、5回目で85~95%となり、11回目まで妊娠例が得られた。
【結論】運動精子濃度が1000万/ml未満及び35歳以上の症例において妊娠率が低かった。また累積妊娠率の検討より、AIHを5回程度施行して妊娠が得られない場合は、ARTへstep upするかどうか検討することが必要であると考えられた。