診療・治療
【発表の概要】
【目的】Testicular sperm extraction (TESE)症例156組を対象としTESE-ICSIの有用性について検討した。
【方法】対象期間は2000年1月から2006年10月とし、精巣内精子回収率、受精率、分割率、臨床妊娠率について評価した。
【成績】夫および妻の平均年齢は、非閉塞性無精子症 (非閉塞群)33.1才/31.9才,閉塞性無精子症(閉塞群)36.4才/31.8才,脊椎損傷などによる射精障害(射精障害群)38.4才/33.0 才であった。症例あたりの精巣内精子回収率はそれぞれ28.0%(28/100),100.0%(47/47),88.9%(8/9)であり、非閉塞群で有意に低かった。受精率はそれぞれ55.1%(238/432),64.8%(558/861),52.4%(66/126)であり閉塞群で有意に高かった。分割率はそれぞれ83.2%(198/238),91.9%(513/558),93.9%(62/66)となり非閉塞群で有意に低かった。移植周期あたりの臨床妊娠率はそれぞれ33.3%(16/32),27.9%(36/93),31.8%(6/15)、移植症例あたりの臨床妊娠率は63.6% (14/22),71.1%(32/45),83.3%(5/6)であり三群間で有意差はなかった。TESE治療症例あたりの臨床妊娠率はそれぞれ 14.0%(14/100),68.1%(32/47),55.6%(5/9)であり、非閉塞群で有意に低かった。
【結論】閉塞群および射精障害群ではTESEにおいて高率に精子が回収され、良好な妊娠率が得られ有用な治療法であることが示された。しかし、非閉塞群では移植当たり臨床妊娠率は他群と比較して同率であるものの、TESEによる精子回収率が不良であるためTESE治療周期当たりの臨床妊娠率は他群より低いことが示された。