英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第31回 日本受精着床学会総会・学術講演会 

  • 新規凍結保護物質カルボキシル化ポリリジンを用いたガラス化凍結法の検討
  • 2013年8月8日(木)~9日(金) 別府国際コンベンションセンター
  • 第31回 日本受精着床学会総会・学術講演会 
  • 辻優大1)・緒方洋美1)・古橋孝祐1)・十倉陽子1)・山田聡1)・緒方誠司1)・水澤友利1)・
    松本由紀子1)・岡本恵理1)・苔口昭次1)・塩谷雅英1)・松村和明2)・玄丞烋3)





    1)英ウィメンズクリニック


    2)北陸先端科学技術大学院大学


    3)京都工芸繊維大学 繊維科学センター


【発表の概要】

 

【目的】

胚や卵子のガラス化凍結保存においてはEthylene Glycol(EG)やDimethyl Sulfoxide(DMSO)が凍結保護物質(CPA)として広く用いられている。一方で、DMSOは浸透圧の上昇など細胞毒性が懸念されてきた。近年、DMSOに代わるCPAとして、カルボキシル化ポリリジン(以下PLL)がマウス繊維芽細胞やiPS細胞の凍結融解後の生存性において改善することが報告されており、我々は、マウス胚を用いてPLLの有用性を報告してきた。本検討では、生殖補助医療におけるより安全な凍結液の開発を目的に、PLL添加凍結液がヒト初期胚の発生能に及ぼす影響について検討を行った。

【方法】                                    

患者の同意を得た廃棄凍結初期胚(採卵後2日目胚)40個を融解し検討に用いた。

<検討1>

7.5% EGと7.5% DMSOにて平衡化し、0.5M Sucroseと15% EG及び15% DMSOを添加しガラス化した群(DMSO群)と、7.5% EGと5% PLLにて平衡化し、0.5M Sucroseと15% EG 及び10% PLLを添加しガラス化した群(PLL群)にわけ凍結した。その後、融解し胚の生存率及び胚盤胞発生率について検討した。

<検討2>

DMSO群とPLL群から得られた胚盤胞を、DNA核をDAPI染色し、更にCaspase3/7に対する蛍光プローブを用いたアポトーシス細胞の検出を行った。

 

【結果】

<検討1>

DMSO群とPLL群における生存率はそれぞれ100%であった。また、胚盤胞発生率はDMSO群65%とPLL群60%で差は認めなかった。

<検討2>

胚盤胞における平均アポトーシス細胞数の割合は、DMSO群22%とPLL群18%で差は認めなかった。

【考察】

 

本検討結果から、PLLはヒト胚におけるCPAとしてDMSOの代わりに成り得る可能性が示された。今後、更に検討を重ねていきたい。

 

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