英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第30回 日本受精着床学会総会・学術講演会

  • どの胚を、どのようして、どこに移植するべきか
  • 平成24年8月30日(木)~31日(金) 大阪国際会議場
  • 第30回 日本受精着床学会総会・学術講演会
  • 塩谷雅英


    英ウィメンズクリニック

「移植胚の選択」生殖補助医療において、体外に複数の胚を得られた場合にはこれらの中から最も妊娠・出産に結びつく可能性の高い胚を選別して移植することが重要である。実際の臨床の場では、胚の発生速度と形態学的評価に基づいて胚の選択がおこなわれている現状があるが、複数胚移植周期では、個々の胚の形態学的評価と臨床成績の対比が困難であった。近年、多胎予防の観点から単胚移植周期の割合が増し、当院でも単胚移植周期の治療成績が蓄積されてきた結果、個々の胚の臨床成績の解析が可能となった。そこで、本シンポジウムでは、まず、移植にあたっての胚選択法の一助となるよう胚の形態学的評価に基づいた臨床成績をご紹介する。

「胚移植法」生殖医療における進歩は著しいものがあるが、子宮内に移植した胚の着床率は決して満足のいくものではない。良好胚を移植しても反復して着床しない症例に遭遇することもある。ヒトを含めた哺乳類における胚の着床機序の全容がいまだブラックボックスの中にあることがその理由の一つである。我々は、子宮内膜の胚受容能獲得において胚因子が重要な役割を果たしている可能性に着目し、二段階胚移植法およびSEET法を積極的に臨床の場に導入している。二段階胚移植法は先に子宮内に移植した初期胚が子宮内膜に作用し胚着床能獲得を促進し、その後に移植される胚盤胞の着床を促進することを期待した胚移植法である。SEET法は、胚培養液中に含まれる胚由来因子によって子宮内膜の着床能獲得を促進し、その後に移植される胚盤胞の着床率向上を期待した胚移植法である。二段階胚移植法では複数個の移植を行う結果、多胎のリスクが小さくない。そこで、当院では胚盤法移植を行う場合には、主としてSEET法を用いた胚盤胞1個移植を行っている。本シンポジウムではこれらの成績をご紹介する。

「どこに移植するべきか」
胚移植にあたっては、使用するカテーテルの選択、ブラインドで行うべきか超音波断層下に行うべきか、等、その手技に関する議論は多くなされてきたが、子宮内腔のどの部位に移植するべきか、という議論はあまりなされていない。我々は、妊娠5週で確認できた胎嚢の殆どが、子宮底部近傍に観察され、しかもその部位は子宮底部に沿って横長に分布していることから、ここに胚着床腔があると考えている。実際、子宮腔内に極少量の水溶性造影剤を注入すると、子宮底部に沿い左右の卵管角を両端とする細長い横長の腔を観察することができる。わかり易い例として、卵管水腫症例における子宮留水腫の位置をあげることができる。卵管から子宮に流入した水腫内容液は大抵子宮底部に沿って横長に分布しており、ここが我々が胚着床腔と考えているスペースである。本シンポジウムでは、初期の胎嚢の位置から推測される胚着床腔について報告する。そして、胚移植部位と臨床成績について解析して報告する。
 

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