【発表の概要】
【目的】培養業務において、データの管理は極めて重要であり、卵巣刺激や採卵、培養記録、移植、凍結、黄体補充などさまざまなデータの管理が必要である。これまで、当院では、専用の紙シートとデータベース管理システム(ファイルメーカー社;ファイルメーカー以下FM) を用いて管理していたが、データが分散しており、データの管理が困難であった。そこで、2011年1月より、岡山二人クリニックのFMを参考に、院内LANを利用し一元的にFM単独で、培養業務のデータ管理を開始した。今回我々は、当院で用いているFMのデータ管理方法と特徴について発表する。
【方法】FMにおける管理データは、①患者の基本情報(住所や生年月日など)②検査結果と治療方針③精液検査結果④人工授精の方法⑤採卵時の卵巣刺激と黄体補充⑥凍結融解胚移植時の黄体補充⑦採卵、胚培養、胚移植、凍結などの培養記録⑧妊娠後の管理である。FMの利点は、①データの統一:ARTに関する全てのデータをFMで統一して管理でき、総合的な判断が容易である。②データの共有:院内LANを用いて、部門内及び部門間のデータの共有が容易である。③データの解析:培養状態の指標である、受精率や分割率、良好胚率、胚盤胞発生率などは、FMの計算機能により、リアルタイムに表示する事が可能であり、培養成績の解析が容易である。④操作方法:FMは操作が容易であり、システムの構築と改変が専門のシステムエンジニアではなく、我々でも可能である。当院では、1月に導入以降、独自でシステムを構築し、現在も続けており、常に治療内容に沿ったシステムの変更ができる点も利点である。
【まとめ】FMを用いる事で、培養業務における、情報共有、記録、解析が容易となり、より深い治療が可能となった。今後、更にFMの機能を利用したシステムの構築を行っていきたい。