診療・治療
【発表の概要】
【目的】 単一胚盤胞移植(SBT)における移植胚盤胞の形態分類別の妊娠率および流産率の検討。
【方法】 2005年1月 ̄2006年12月にSBTを行った331周期を対象とした。受精後5日目の胚盤胞をGardnerの分類に基づき、発生段階を6段階(G1 ̄G6)、内細胞塊(ICM)所見および栄養外胚葉細胞(TE)所見をそれぞれA, B, Cの3段階に評価し、臨床的妊娠率と流産率を比較した。
【成績】 G1 ̄G6の発生段階別に検討した妊娠率は、それぞれ26.9%(7/26)、37.1%(13/35)、47.7%(51/107)、58.6%(7/26)、67.6%(25/37)、100%(4/4)であり、G4ではG1, G2と、G5ではG1 ̄G3と、G6ではG1 ̄G5と比較して有意に高率となった。
ICMの評価別の妊娠率はAで 60.2%(97/161)、Bで52.3%(46/88)、Cで33.3%(5/15)であり、AではCと比較して有意に高率であった。
TEの評価別の妊娠率はAで65.0%(67/103)、Bで53.2%(67/126)、Cで40.0%(14/35)であり、AではCと比較して有意に高率であった。
流産率をG1 ̄G6の発育段階別に検討すると、それぞれ28.6%(2/7)、23.1%(3/13)、13.7%(7/51)、13.2%(9/68)、12.0%(3/25)、25.0%(1/4)となり有意差を認めなかった。
流産率をICMの評価別に検討すると、Aで11.3%(11/97)、Bで13.0%(6/46)、Cで60.0%(3/5)であり、CはA, Bと比較して有意に高率であった。
流産率をTEの評価別に検討すると、Aで14.9%(10/67)、Bで11.9%(8/67)、Cで14.3%(2/14)となり、有意差を認めなかった。
【結語】 単一胚盤胞移植における妊娠率は、胚の発生速度、ICM所見、TE所見と密接な関係があることが示唆された。
またICMの所見は妊娠予後を評価する上で重要な指標となることが示唆された。