診療・治療
【発表の概要】
【目的】HRT周期による凍結融解胚移植治療において、着床期(黄体期8日目)の血中エストラジオール(E2)値およびプロゲステロン(P4)値と妊娠率との相関を検討した。
【方法】2004 年8月~2005年1月にHRT周期での凍結胚融解移植治療を行った126周期を検討対象とした。HRTは、周期2日目からエストラダームMの貼布を開始、以後漸増し、周期15日目からプロゲステロン膣座薬(400mg/日)を、周期16日目から酢酸クロマジノン錠12mg/日を併用した。周期23日目の血中P値が低い例の一部にはプロゲステロン(50mg)筋注を併施した。
【結果】平均年齢±SDは35.0±4.6才であり、移植周期当りの妊娠率は42.9%(54/126)、流産率27.8%(15/54)であった。周期23日目の血中P値が5ng/ml以上であった周期での妊娠率は48.1%(37/77)、5ng/ml未満であったためその後追加の補充を行った周期の妊娠率は 50.0%(8/16)であった。血中P値が5ng/ml未満であったがその後追加の補充を行わなかった周期の妊娠率は27.3%(9/33)と有意に低率であった。血中P値と妊娠率のROC曲線による検討では、血中P値5ng/mlがカットオフ値となった。P値と流産率には相関はみられなかった。HRT 周期23日目の血中E2値の平均値±SDは330.9±208.2pg/mlであった。ROC曲線による検討では、血中E2値と妊娠率および流産率には相関がなかった。
【結論】HRT周期23日目の血中P値が 5ng/ml未満の場合妊娠率の低下がみられた。この場合、プロゲステロン筋肉投与の追加補充が有効である可能性が示唆された。