診療・治療
【発表の概要】
採卵を17周期、移植を15周期実施するも妊娠に至らずZIFT法によって妊娠に至った症例を経験したので報告する。症例は原因不明不妊の為前医にて体外受精-胚移植法を4周期、腹腔鏡下GIFT法、ZIFT法各1周期を実施したが妊娠に至らず、当院を受診した。初診時34歳、O回経妊、不妊期間9年であった。当院における卵巣刺激は、1、3、5周期目はshort protocol、2周期目はultralong protocol、4周期目はlong protocolを用いた。前医での体外受精の受精率は15%~20%と低率であったことから当院では顕微授精を実施し、受精率は69.3% (30.8~70.0%)であった。得られた初期胚の形態はいずれの卵巣刺激周期においても良好であった。二段階胚移植法を予定し、初期胚移植を実施後、残りの胚は培養継続したがいずれの周期においても胚盤胞に発生しなかった。当院3周期目では凍結融解胚をホルモン補充周期にて移植したが妊娠に至らなかった。その後他院にて子宮鏡下ZIFT法を2周期実施するも妊娠に至らず、再度当院を受診した。当院6周期目の治療は、antagonist併用 protocolにて行い、二段階胚移植を予定としたが胚盤胞に発生せず、妊娠に至らなかった。体外培養での胚発生停止が治療不成功の原因と考え、再度腹腔鏡下ZIFT法を実施することとした。clomiphene-hMG療法を2周期、アロマターゼ阻害剤-hMG療法を1周期施行、採卵、ICSIにて合計14個の胚を得、前核期で凍結保存した。ホルモン補充周期を利用し、前核期胚を融解後腹腔鏡下に両側卵管に移植し、単胎妊娠が成立した。体外培養あるいは子宮内環境での胚発生停止が治療不成功の原因と考えられる難治症例に対してZIFT法は有用な治療法であると考えられた。