診療・治療
【発表の概要】
【目的】現在、本邦のARTにおける卵巣刺激法はGnRHアゴニスト併用の下ゴナドトロピン製剤を用いて多数の卵を発育させる方法が主流となっている。今回我々は採卵時の回収卵数がART成績に影響を及ぼすかどうか後方視的に検討をおこなった。
【方法】2000年3月~2004年3月に当院においてARTを施行し、採卵時回収卵数が2個以上であった新鮮胚移植1870周期を対象とした。平均年齢35.1才(21~50才)、平均ART回数3.2回(1~29回)
【成績】移植あたりの妊娠率は、回収卵数が2個の周期では13.0%(20/154)、3個では22.3%(36/161)、4個では28.8%(44/153)、 5個では31.2%(48/154)、6個では33.1%(47/142)、7個では38.1%(48/126)と回収卵数の増加にしたがい妊娠率は上昇した。7個以上では妊娠率は40%前後で推移しプラトーとなった。採卵時回収卵数が、6個以下と7個以上で妊娠率に有意差がみられた。また、採卵時回収卵数別の妊娠率をROC曲線により検討をおこなった結果、採卵時回収卵数7個がカットオフ値となった。採卵時回収卵数別で流産率に差を認めなかった。
【結論】新鮮胚移植周期においては採卵時回収卵数が7個あれば一定の妊娠率を維持出来ることが明らかとなった。OHSSの発生増加を予防し、かつ一定の妊娠率を維持するために、新鮮胚移植周期においては7個の採卵数を目安とした卵巣刺激が望ましいことが示唆された。