診療・治療
【目的】妊娠初期の黄体機能と妊娠予後の関連、排卵trigger法および黄体補充法が黄体機能に及ぼす影響について検討した。
【方法】2011年1月より2014年4月にAIHにより妊娠し、妊娠判定時に血清ホルモン(E2、P、hCG )を測定した457例を対象として、
①ホルモン値と流産率の関連および各ホルモン値間の相関を検討した。
②排卵triggerの方法と黄体機能の関連を検討した。triggerなし、ブセレリン酢酸塩、hCGを比較した。
③黄体補充法と黄体機能の関連を検討した。黄体補充なし、中用量ピル、結合型エストロゲン+クロルマジノン、ジドロゲステロンを比較した。
【結果】
①E2<100pg/ml群、P<10ng/ml群、hCG<100mIU群の流産率はいずれも60%以上と高率であった。E2とP間には正の相関がみられた。
②排卵triggerの有無や方法による黄体機能低不全の割合に有意な差はなかった。
③黄体補充として中用量ピルを使用した群ではE2<100pg/mlあるいはP<10ng/mlの割合が他の群より有意に高かった。
【考察】妊娠判定時のE2は100pg/ml以上、Pは10ng/ml以上が望ましいと考えられた。排卵triggerとしてのGnRHアゴニストは黄体機能不全を有意に増加させるのもではなかった。中用量ピルは黄体機能不全を起こしやすく、卵巣機能をより強く抑制することが示唆された。