診療・治療
【目的】
患者に配偶子及び受精卵の情報を提供することは極めて重要である一方で、配偶子及び受精卵を扱う胚培養士が直接患者に説明する機会は少ない。当院では2011年6月に胚培養士が直接患者に説明する場として、胚培養士外来を開設した。今回、当院の胚培養士外来の現状を考察したので報告する。
【方法】
検討①2011年10月~現在に至るまで胚培養士外来を訪れた959人の患者を対象とし、A:患者の内訳、B:所要時間、C:具体的な質問内容について集計した。検討②2012年4月~2013年3月及び、2015年6月~現在に至るまでに胚培養士外来を受診した156人(組)の患者を対象に外来後にアンケートを実施した。
【結果】
検討① A:患者の内訳は、妻のみ384人、夫婦286組、夫のみ3人であった。B:平均所要時間は妻のみ39.1±17.8分、夫婦41.5±18.7分、夫のみ16.7±5.8分であった。C:具体的な質問内容は、受精卵の状態についてが最も多く、次に今後の治療について、などがあった。
検討②アンケートの回収率は88.5%であった。アンケートに対する回答は、A:外来受診後の感想については、とても良かった79.7%、まあまあ良かった19.6%であった。B:胚培養士の説明については、とてもよく分かった80.4%、まあまあ良く分かった18.8%であった。C:胚培養士の対応については、非常に丁寧だった94.2%、まあまあ丁寧だった5.8%であった。
【考察】
今回外来後に実施したアンケートではいずれの質問に対しても高評価であったことから、胚培養士が直接患者に情報提供をする機会を設けることは、患者にとって治療の一助となることが考えられた。同時に、胚培養士外来を通じて胚培養士は患者と向き合い、患者の思いを受け止める事で、胚培養のプロとしてのモチベーションを高めることに繋がるものと考えられた。