英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

  • Spermsorter Quolis○Rを用いた新規精子調整法の検討
  • 平成25年9月7日(土)〜8日(日)パシフィコ横浜
  • 第16回 IVF学会
  • 岸加奈子、緒方洋美、十倉 陽子、緒方誠司、山田聡、水澤友利、岡本恵理、松本由紀子、苔口 昭次、塩谷 雅英

    英ウィメンズクリニック

【発表の概要】

 

【目的】

ARTにおける精子調整方法には、密度勾配遠心分離法や洗浄濃縮法及びswim up法などが用いられているが、一方で、これらを伴う調整方法では精子に対して物理的ダメージやDNA損傷を与えることが懸念されている。
そこで、今回我々は、遠心分離を行わずにMicrofluidics原理を応用して、運動良好精子を選別するSpermsorter Qualis○R(株式会社メニコン、名古屋市、以下スパームソーター)を用い、精子のDNA損傷を軽減できるかどうか、密度勾配遠心分離法または洗浄濃縮法に加えswim up法で精子調整をおこなった従来の方法(以下従来法)と比較し、検討したので報告する。
 

【方法】

廃棄精液10検体を用いた。精子調整に使用した培養液は、Universal IVF Medium(以下UIM)を用いた。従来法では、運動精子1000万/ml以上の精液には、密度勾配遠心分離法を施行後、swim up法にて100μlの調整液を回収した。運動精子1000万/ml未満の精液には、UIMを用いて洗浄濃縮後、swim up法にて100μlの調整液を回収した。スパームソーター法では、UIMを用いて精液を2倍希釈後に30分間調整し、30μlの調整液を回収した。精子DNA損傷の測定には、精子核のDNA 損傷を観察するHalosperm○R (Halotech DNA)を使用し、Diff-Quick染色を行った。染色後、光学顕微鏡にてスライドガラス上の300個の精子を観察し、DNA損傷率を測定した。
 

【結果】

スパームソーターから得られた精子数は従来法より非常に少なかった。DNA損傷率は、原精液(以下調整前)が27.7%に対し、従来法は8.3%、スパームソーターでは5.9%であり、両群とも調整前より有意に低率であった(図1,対応のあるt検定)。また、スパームソーターは従来法と比較し、調整後のDNA損傷率が有意に低率であった(図2,対応のないt検定)。
 

【結論】

本検討ではDNA損傷率は、調整前と比較し従来法及びスパームソーターでは、両群とも有意に低率となった。また更に、スパームソーターでは従来法と比較し有意に低率となったことから、スパームソーターは従来法と比較し、より精子への損傷が少ない事が示された。今後、ARTの成績を含め臨床応用可能かどうか検討していく予定である。

 

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