診療・治療
【発表の概要】
【目的】精子形態は受精率に相関する。精子正常形態率を評価する手段として、クルーガーテストが有効な手段として用いられてきた。今回我々は、CEROSモジュラー(HAMILTON THONE社)を用いたクルーガーテストを実施し、精子正常形態率別にIVFの受精率を調べたので報告する。
【方法】2009年7~8月において採卵個数4個以上の症例のうち、原精液所見が当院で定めたIVFの適応(精子濃度2000万/ml以上且つ運動率20%以上且つ運動精子数1000万/ml以上且つSperm Motility Index(SMI)50以上)に該当した為、媒精濃度10万/mlにてIVFを実施した20症例(卵子169個)を検討対象とした。各症例につきCEROSモジュラーで100個の精子を評価し、精子正常形態を10%未満(A群)、10~15%未満(B群)、15~20%未満(C群)、20~25%未満(D群)、25%以上(E群)に分類しIVFによる受精率を検討した。
【結果】患者(妻)平均年齢は36.4±5.1歳、平均ART回数は1.8±1.6回だった。受精率は、A群25.0%(3/12)、B群69.1%(38/55)、C群62.5%(35/56)、D群72.2%(13/18)、E群75.0%(21/28)であった。受精率はA群が他群と比較し有意に低率であったが(P<0.05)、B群、C群、D群及びE群の間では有意差は認められなかった。
【結論】クルーガーらは精子正常形態率が14%以下であれば受精率は37%であったと報告したが、CEROSモジュラーを用いたクルーガーテストでは、精子正常形態率が10%以上あれば、IVFにて良好な受精率が得られるのに対し、10%未満では、受精率は低く、ICSIを考慮すべきであることが示唆された。
今回の検討で用いたCEROSモジュラーは、精子形態を評価するのが容易であり、且つ客観性に優れた評価ができ臨床に有用である。