診療・治療
社会情勢の変化に伴い、不妊治療を受ける患者は増加している。しかし、治療後初期流産に至る確率も高く、患者の落胆も大きい。当院では流産2回以上の患者には流産内容物染色体検査による流産原因の精査を提案している。2008年10月から2013年末までに297症例において、流産内容物染色体検査を希望された。結果:染色体解析結果は、正常異型を含む正常核型68例(23.1%)、染色体異常は226例(76.9%)であり、3例は培養不成功などで核型が同定できなかった。染色体異常のうち、172例は常染色体トリソミーであった。年齢に着目すれば、39歳以下群での正常核型は29.6%であるのに対し、40歳以上群では正常核型10.2%、染色体異常が90%に同定され、流産原因90%が胎児異常であった。考察:40歳以上の初期流産においても、正常核型症例が10%みられる。流産原因を確定することにより、不育症検査など適切な治療の提供につなげていくことができるのではないかと考える。