診療・治療
【発表の概要】
【目的】
分割期胚の至適凍結条件の検討を目的として、マウス分割期胚を用い、凍結時の平衡化時間及びクライオトップに載せる液量の検討を行った。
【方法】
凍結されたICR系マウスの8細胞期胚を融解後、再度vitrification法にて凍結し、生存率及び胚盤胞発生率を検討した。<検討1> Equilibration Solution(ES)浸漬時間を6分と10分、それぞれのES時間に対しVitrification Solution(VS)浸漬時間を60秒と90秒及び120秒の、計6群間、59個の胚で比較した。<検討2>胚をクライオトップに載せる際のVS量を多群(胚の体積の3倍以上)、中群(胚の体積の約2倍)、少群(可及的に余剰の液を吸引した状態)の3群とし、計93個の胚で比較した。
【結果】
検討1において、生存率及び胚盤胞発生率はES 6分VS 60秒群で100%(24/24)、87.5%(21/24)、ES 6分VS 90秒群で95.8%(23/24)、83.3%(20/24)、ES 6分VS 120秒群で100%(24/24)、50.0%(12/24)、ES 10分VS 60秒群で95.8%(23/24)、50.0%(12/24)、ES 10分VS 90秒群で95.8%(23/24)、62.5%(15/24)、ES 10分VS 120秒群で91.7%(22/24)、20.8%(5/24)であり、生存率に差を認めなかったが、胚盤胞発生率はES浸漬時間10分間と比較し6分間で高い傾向を認めた。VS浸漬時間の延長による改善は認めなかった(表1)。検討2において、生存率及び胚盤胞発生率は多群100%(30/30)、56.7%(17/30)、中群100%(31/31)、51.6%(16/31)、少群50.0%(16/32)、25.0%(8/32)であり、少群はその他の群と比較して生存率、胚盤胞発生率共に有意に低かった(P<0.05)(表2)。
【考察】
ES浸漬時間6分で胚盤胞発生率が高い傾向を認めた。また、クライオトップに載せる液量を可及的に吸引し少なくすることは作業過程において胚を乾燥させ、生存率や胚盤胞発生率を低下させるリスクがあることが示された。