英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第10回 日本生殖医療心理カウンセリング学会

  • 最新のART
  • 平成25年3月3日(日) ホテルメトロポリタン仙台
  • 第10回 日本生殖医療心理カウンセリング学会
  • 塩谷 雅英


    英ウィメンズクリニック

【発表の概要】
吉田仁秋会長から、標題のテーマを頂いて以来、「最新のART」について考えてきた。近年、高齢患者の治療が増えてきている。当院では、2012年度の全治療周期に占める40才以上の治療周期は51.3%と半数を超えるまでに至っている。これら高齢患者、そして難治症例への取り組みがますますその重要性を増しており、まさに「最新のART」における重要な課題であり、本講演で取り上げたいと考えている。高齢患者の卵子は、ミトコンドリア活性の低下などのため、外界からのストレスに対して脆弱になっていると考えられる。従って、当院の高齢患者に対する治療方針の基本は、「卵子になるべくストレスを与えない」ということである。そこで本講演では高齢患者の「卵子になるべくストレスを与えない」ようにするための当院の取り組みについてご紹介する。
 次に、「生殖医療におけるiPS細胞利用の可能性」について取り上げる。早発閉経やターナー症候群等が原因で、卵子が枯渇した患者では、ドナー卵子による治療以外に妊娠の望みは無い。TESEによっても精子を回収できない無精子症患者も同様である。これらの患者にES細胞やiPS細胞などの幹細胞から卵子や精子を作出することができれば挙児の可能性が開かれる。とくに、iPS細胞は、ES細胞のように受精卵を使用する必要がなく、また本人の体細胞から作出することが可能となるため免疫拒絶反応の心配も無い。これら幹細胞による治療の可能性を大きく前進させた報告が相次いでいる。2011年には、Hayashiらによって、マウス胚性幹細胞から精子が作出され、その精子によって胎仔が生まれた事を、そして2012年にはマウス胚性幹細胞から卵子が作出され、その卵子によって胎仔が生まれた事が報告されている。今後は、これらの幹細胞技術がヒトの治療にも応用できる時代がくるかもしれない。手技の確立と安全性の確認が重要である。続いて、最近数年の間にみられたその他のARTにおける革新について触れる。具体的に列挙するならば、「無加湿型培養器の導入」、「PGD/PGS/FISH法/CGH」、「シート法」、「Embryo Glue」、「核置換による卵子の若返り」などである。

 

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