英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第60回日本卵子学会学術集会

  • 卵管液組成に基づく1-step mediumを用いた受精卵培養の検討
  • 2019年5月25日(土)~5月26日(日)広島国際会議場
  • 第60回日本卵子学会学術集会
  • 白岩優綺、佐東春香、田中里美、古橋孝祐、岩﨑利郎、伊藤宏一、水澤友利、松本由紀子、

    苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

HiGROW OVIT PLUSは日本卵子学会と扶桑薬品工業の共同開発で作られた1-step mediumである。特徴として卵管液組成に基づき、既存のmediumに比べ必須アミノ酸は低く、非必須アミノ酸は高く、タウリンを高濃度配合している。今回、我々はOrigio社のSAGE 1-Step mediumと、HiGROW OVIT PLUSの培養成績を比較検討した。

【方法】

2018年8月~9月までにARTを行い、2PNが4個以上得られた74周期 (2PN=524個)を対象とした。同一周期で得られた胚を、SAGE群とOVIT群の2種類の培養液でsplit培養し、両群のD2分割率、D2良好分割率 (4cellG2≤)、D5胚盤胞発生率、D5良好胚盤胞率 (G3AA≤)について比較検討を行った。

【結果】

検討対象の平均年齢は32.8±4.7歳、当院平均ART回数は1.9±2.2回であった。SAGE群とOVIT群の培養成績は、D2分割率 (98.8% vs 98.5%)、D2良好分割率 (53.3% vs 53.1%)、およびD5胚盤胞発生率 (57.5% vs63.4 %)、D5良好胚盤胞率 (23.0% vs 23.7%)となり、両群間に有意差を認めなかった。しかしながら、IVF群とICSI群に分けて比較すると、IVF群では全ての項目に有意差を認めなかったが、ICSI群でD2分割率 (99.1% vs96.6%)、D2良好分割率 (45.0% vs 43.9%)、D5良好胚盤胞率 (20.2% vs 22.0%)では両群間に差を認めなかったものの、D5胚盤胞発生率 (47.5% vs61.5 %)はOVIT群で有意に高かった(P<0.05)。

【考察】

本検討結果よりICSI群におけるOVIT群でD5胚盤胞発生率は有意に高かった。グリシン、タウリンは胚発生を改善するという報告があり、培養液の組成を卵管液の組成へ近づけることは、胚盤胞発生率の改善に有効であることが示唆された。

 

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