英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第36回日本受精着床学会総会・学術講演会

  • 3種類の密度勾配液を用いた人工授精時の精液所見と妊娠率の比較
  • 2018年7月26日(木)~27日(金) 幕張メッセ 国際会議場
  • 第36回日本受精着床学会総会・学術講演会
  • 松田彩花、岸加奈子、横田梨恵、古橋孝祐、江夏徳寿、辻優大、伊藤宏一、水澤友利、

    松本由紀子、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

当院では人工授精(以下IUI)を実施するにあたり、密度勾配分離法を用いて精液の調整を行っている。今回我々は精子調整用に市販されている比重が異なる3種類の調整液(以下A液:1.106、B液:1.118、C液(パーコール):1.124)を用いて、精液調整前後の運動精子濃度とその濃縮率及びIUI後の妊娠率を比較検討したので報告する。

 

【方法】

2016年8月~2017年11月にIUIを実施した患者のうち、原精液の総運動精子数が10×106以上を検討対象とした。周期数はA液:619、B液:584、C液:1004で、計2207周期であった。検討項目として、各群の調整前後の運動精子濃度を算出し、その濃縮率及び化学的妊娠率について比較した。密度勾配液の調整法は、A液とC液はヒト血清アルブミンを10%添加したハンクス液を等倍で希釈し、B液は専用の調整液を等倍希釈した。調整方法は、3群の調整液に原精液を重層し、遠心分離(300g×20分)し。また、精子数の測定にはSMAS(精子運動解析装置)を用いた。

 

【結果】

調整後の運動精子濃度は調整前と比較して、A液51.9%、B液27.3%、C液15.6%に濃縮され、A液及びB液の濃縮率はC液に比べて有意に高かった(p<0.01)。またIUI後の化学妊娠率は、A液7.3%、B液6.7%、C液6.4%であり、3群間での有意な差は認めなかった。

 

【結論】

今回の結果より、調整後の運動精子濃度の濃縮率はC液に比べて比重が低いA液及びB液が有意に高く、運動精子をより多く回収する為に有用な密度勾配液であることが示唆された。IUI後の妊娠率は密度勾配液による差を認めなかったが、いずれも低くとどまっており、今後はさらによりよい精液調整法を模索していく必要性があることが示唆された。

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