英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

  • 受精障害に対するrescue-ICSIの妊娠・出産解析
  • 2016年5月14日(土)~15日(日) 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
  • 第57回 日本卵子学会
  • 矢田桃子、古橋考祐、片田雄也、角本知世、松浦まき、岸加奈子、後藤優介、向井美紗、

    角知英、辻優大、大月純子、緒方洋美、松本由紀子、苔口昭次、塩谷雅英

【目的】

rescue-ICSI (r-ICSI)は完全受精障害の回避法の一つであり、当院では第二極体放出の経時的2段階チェックにより二重受精を極力回避する方法を試みてきた。本発表では、r-ICSIの臨床妊娠・出産解析結果を報告する。

 

【方法】

2012年6月から2014年12月の期間にr-ICSIについて同意が得られ、回収卵数が4個以上のIVF2545周期を対象とし、r-ICSI対象群、非対象群の比較及びr-ICSI由来胚とc-ICSI由来胚の凍結融解単一胚盤胞移植における妊娠・出産解析を行った。

 

【結果】

IVF 2545周期中132件がr-ICSIの対象となった。r-ICSI対象群、非対象群の受精率、胚盤胞率、良好胚盤胞率は対象群:81.0%,27.0%,28.7%、非対象群:72.8%,50.8%, 43.5%であり受精率は対象群が有意に高く(p<0.001)、胚盤胞率と良好胚盤胞率は非対象群が有意に高くなった(p<0.001 ,p<0.001)。r-ICSI対象となった132周期中41周期でr-ICSIにのみ受精卵が得られた。そのうちr-ICSI由来胚の凍結融解単一胚盤胞移植を行った52周期と同期間に行ったc-ICSI 1950周期の臨床妊娠率、出産率、流産率、正期産の児平均体重は、r-ICSI:42.3%, 26.9%, 23.8%, 2894.4±267.6g、c-ICSI:39.2%, 30.2%, 22.7%, 3070.2±340.2gであり、妊娠率、出産率、流産率に有意な差は見られなかったが、r-ICSI周期の児の体重が有意に低くなった(p=0.037)。

 

【考察】

r-ICSIは受精障害及び低受精率の症例において有効な方法の一つであると考えられるが、不受精は男性因子、女性因子のどちらにも起因することから、r-ICSIでの出生体重の低下は両親のどちらか又は両方に起因していた可能性があり更なる解析が必要となった。

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