はなぶさコラムス
当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。
~胚盤胞のグレード分類について~
胚盤胞のグレードにつきましては、以前に培養士コラムでもご紹介しましたが、当院では“GardnerとShoolcraftによる胚盤胞のグレード分類”を用いております。
今回は、移植した胚盤胞を、成長段階の評価から、グレード1~6に、更にグレード3及び4につきましては、内細胞塊と栄養外胚葉の評価から、AA,AB,BAをhigh grade胚、BB,BC,CB,CCをlow grade胚に分けて、妊娠率のお話をしていきたいと思います。
~胚盤胞のグレードと妊娠率について~
胚盤胞の成長が進むほど(グレードの数字が大きくなるほど)、妊娠率は高くなります。
また、成長段階が同じであってもlow grade胚と比較して、high grade胚の方が妊娠率は高くなります。(図1)
図1 胚盤胞のグレードと妊娠率
~年齢と妊娠率について~
一般に、年齢が高くなるほど、妊娠しにくくなると言われています。
そこで、年齢を34歳以下、35~37歳、38歳以上の3つの群に分けたところ、34歳以下>35~37歳>38歳以上 の順で妊娠率は高くなりました。(図2)
図2 年齢別妊娠率
~グレードと年齢を併せた妊娠率について~
では、グレード毎に年齢別に分けた場合の妊娠率はどうでしょうか。
同様に年齢を3つの群に分けたところ、同じグレードであっても、年齢が低い群ほど妊娠率は高くなる傾向となりました。(図3)
図3 グレードと年齢を併せた妊娠率
まとめ
同じグレードであっても、年齢が低い群ほど妊娠率は高くなる傾向となりましたが、38才以上でもグレードが高い胚盤胞が成長しましたら、妊娠率は50%前後になるという結果でした。実際の治療にあたっては、年令に関わらず、グレードの高い胚を育てることができるよう努力することの重要性が改めて示唆されました。
胚培養部門 田中里美