はなぶさコラムス
当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。
転勤や、その他の事情によりクリニックを転院しなくてはならなくなった場合
凍結保存している検体(胚・卵子・精子)は?
以前(2018年9月)「胚・精子の国内移送について」のコラムで移送に用いる専用の容器についてご紹介しました。
今回は移送する方法(輸送方法)についてご紹介させていただきます。
移送方法としては、以下の3点があります。
・患者様ご自身で移送
・当院に委託(専門業者委託)
・先方に委託
移送方法については、当院から指定はございませんので、患者様ご自身で移送方法や移送日時を選択していただけます。
【患者様ご自身で移送される場合】
事前にお取り扱いについて十分にご理解いただいた上で運搬していただく必要があります。運搬中、適切にお取り扱いされなかった場合は、思わぬ事故や検体が破損、紛失してしまう可能性があります。
詳細につきましては、移送の手続きを行う際にご説明いたします。
【当院へ委託される場合】
細胞輸送等医療関連の検体を取り扱う専用の輸送業者を利用します。
〈専用業者の特徴〉
・専門スタッフによって管理されたセキュリティ・温度管理下での超低温輸送
・全国各地の病院間をX線検査回避輸送、航空輸送やチャーター陸送
【先方に委託される場合】
先方の施設様でご指定がある場合もございます。その場合、先方の方法に沿って移送することが可能ですが、内容によってはできかねる場合もございます。詳しくは移送手続きの際にご相談ください。
※使用される専用容器の選択について※
容器は当院でもレンタル(有料)を行っております。当院もしくは先方、どちらの容器を使用されるのか、患者様で選択していただけます。
当院あるいは先方に委託で当院容器を使用する場合、移送専用の空の容器を、先方へ事前に手配する必要があります。
また、検体を移送した後は、空になった容器をレンタル元へ返却する必要もあります。
費用や利用する輸送業者は、往路・復路でそれぞれ異なります。
当院へ委託された場合の輸送費については以下をご参照ください。(表1)
表1 各輸送における当院で利用する業者と費用
利用する業者 | 費用 | |
検体を格納した状態での輸送 | 専用業者 | 20,000
~150,000円前後*1 |
空の容器の輸送 | 宅配業者 | 2,000
~3,000円前後 |
*1)病院間の陸送の距離や日祝の加算により変動
まとめますと、移送を希望される際は、患者様には以下を選択していただくこととなります。
移送方法や移送元あるいは移送先いずれの容器を使用するかで費用は大きく異なります。
また、移送方法の詳細な相談は、培養士とさせていただきますが、事前に医師との診察が必要となります。当院へ一度受診後、医師の移送に関する承諾が得られれば、お問い合わせください。
なお、当院から遠方にお住まいの場合や、来院にお時間が取れない場合は、オンライン診療*2での受診が可能です。オンライン診療の場合、医師の診察はオンライン診療の「検査結果の説明」を、培養士との詳細な相談は「培養士外来」をご予約して受診ください。
*2)当院の受診歴が無い方は、オンライン診療のご予約をお取りすることが出来ません。
お住いの場所や先方の移送の対応方法により、できる限りご要望にお応えできるようサポートいたします。移送を迷っている、という方も診察で一度ご相談ください。
培養部門 堤由香理