はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
黄体化非破裂卵胞症候群という名前をお聞きになったことがあるでしょうか。排卵障害の一つです。そもそも排卵とは、卵巣で発育した卵胞は直径20ミリを超えた時点で破裂し、その中から、卵胞液とともに卵子がとびだすことです。そして、排卵前にはこの卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、排卵後に卵胞は黄体に変化し黄体ホルモンも分泌するようになります。この黄体ホルモンには基礎体温を0.4度前後上昇させる働きがありますので、基礎体温は排卵前は低温相、排卵後に高温相に、すなわち2相性となります。
黄体化非破裂卵胞症候群では、基礎体温は2相性となり、あたかも排卵が起こっているように見えるのですが、超音波検査で観察すると卵胞が破裂しておらず、排卵が起こっていない状態であり不妊の原因となります。原因はよく解明されていませんが、子宮内膜症などで卵巣の周囲に癒着などがあるときに発症し易くなります。不妊の検査で原因がよくわからない場合には、この黄体化非破裂卵胞症候群になっていないかどうかもチェックしていただくと良いでしょう。
院長 塩谷雅英