英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

理事長コラム

はなぶさコラムス

当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。

第51回 排卵誘発剤について(2010年8月)

多くの皆さんは「排卵誘発剤」という名前を耳にしたことがおありだと思うのですが、その働きについてはあまり詳しくはご存知無いかと思います。「排卵誘発剤」は内服薬と注射薬に大きく分けることができます。内服薬の排卵誘発剤で有名なのは「クエン酸クロミフェン(クロミッドなど)」です。女性ホルモンの一つである卵胞ホルモンとよく似た構造をしていますが女性ホルモンとしての働きはありません。体内に吸収されたクロミフェンは脳の視床下部にある女性ホルモン濃度感知センサーに女性ホルモンが結合するのを邪魔します。その結果、脳は女性ホルモンが足りないと勘違いして女性ホルモンを分泌させるよう(すなわち排卵を促進するよう)卵巣に働きかけることになります。注射の排卵誘発剤は下垂体から分泌される排卵を促進するホルモンそのものです。注射の排卵誘発剤は作用が強力であるため、複数の卵子が発育することがあり、多胎妊娠が内服薬の排卵誘発剤よりも多くなります。医師は症状に応じてこれらの排卵誘発剤を選択、場合によっては組み合わせて使用します。

院長 塩谷雅英

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