はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
今回は日常の診療で皆様から頂く御質問を取り上げてみます。
Q結婚して1年、妊娠の兆しが無いため、不妊専門クリニックを受診しました。そこで、夫が無精子症と診断され落ち込んでいます。どうしたらいいのでしょうか。
A.射精された精液に精子が見あたらない場合、無精子症と診断されます。この場合でも精巣そのものには精子が見つかることがあります。精巣に精子を見つけることができましたらこの精子を用いて顕微授精での妊娠が可能となります。精巣から精子を取り出す手術は日帰り、あるいは短期間の入院での小手術です。当院では、開院以来およそ250名の無精子症の患者様の治療に当たって参りました。精子の通り道である精管が閉塞している閉塞性無精子症例では100%、非閉塞精無精子症例では40%の患者様において精巣の中に精子が見つかっております。そして精子を見つけることができた患者様の70%近いご夫婦に妊娠成立を得ております。無精子症と診断されてもあきらめず、精巣の中に精子があるかどうか調べてみることをお勧めします。
執筆:院長 塩谷 雅英