英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

理事長コラム

はなぶさコラムス

当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。

第29回 SEET療法について (2008年2月)

1978年、世界ではじめて体外受精で誕生したルイーズブラウンさんもはや29才、ご結婚され無事にご出産されたとの事です。さて、このように29年の歴史をもつ 体外受精治療はいまや不妊治療において欠くことのできない治療方法となり、不妊でお悩みの患者様にとりましては大変効果的な治療です。しかし体外受精や顕微授精を繰り返すも妊娠出来ない場合があります。このような場合には着床障害がその原因として考えられます。

従来、着床障害に対しては有効な治療方法がありませんでしたが、当院の後藤栄医師がこの着床障害にたいして有効な治療方法であるSEET(シート)療法を開発しました。今回はこのSEET(シート)療法についてお話します。

SEET(シート)療法では、まず受精卵を体外で5日間培養し、胚盤胞の状態まで育てます。胚盤胞に育ちましたら一旦この受精卵を凍結保存します。このときこの受精卵を培養するのに用い受精卵から放出された物質が含まれた培養液を別に凍結しておきます。これで治療準備完了です。次の周期に今度は、まずあらかじめ凍結しておいた培養液を子宮の中に注入します。この培養液に含まれている受精卵のエキスが子宮に作用し着床しやすくします。そして培養液を注入した 2~3日後に胚盤胞を1個移植するのです。これがSEET(シート)療法です。

胚盤胞の状態にもよるのですが、SEET(シート)療法での妊娠率は60%以上と画期的な妊娠率を得ております。特に過去に3回以上治療を受けても妊娠出来なかった方でもSEET(シート)療法では高い妊娠率を期待できます。

この成果はアメリカ生殖医療学会に論文にて発表し、また2006年の日本生殖医療学会にて報告させていただきましましたところ多くの施設から反響がありました。いずれ日本中、あるいは世界中に広がる治療方法となるものと予測されます。

当院で開発しましたSEET(シート)療法は今後の体外受精治療を大きく変革するものです。特に反復不成功の患者様にとりましては非常に有効な治療となり ます。当院では反復して治療不成功に終わっている患者様には積極的にSEET(シート)療法をお勧めしております。 
 

執筆:院長 塩谷 雅英

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