はなぶさコラムス
遺伝的要因から不妊のカウンセリングを行う遺伝カウンセラー、心の専門家である心理カウンセラーからお届けするコラムです。 遺伝カウンセリング、心理カウンセリングの予定はこちらからご覧頂けます。
毎日の生活の中で、人は様々な感情を感じて生きています。喜び・満足・安心・悲しさ・怒り・不安・寂しさ・憂鬱さ…。そういった感情は、人間であればごく自然に誰にでも湧いてくるものです。怒り・不安といった否定的な感情を抱くことは「よくないこと」のように思われがちですが、それも人間としての豊かな心の動きのひとつといえるでしょう。
怒りや不安など否定的な感情をどのように扱えばよいのか、難しく感じる人は多いのではないでしょうか。相手との関係を保とうとして、怒っていないかのようにふるまったり、不安に感じていることを自分自身で否定してしまうこともあるでしょう。
でも、あるはずの感情を押さえこんだり無視したりしても、それらは消えてなくなるわけではありません。積み重なった感情が、些細なことをきっかけに噴き出すようなこともあるでしょう。人は誰でも、自分の思いを伝えたり、表現したりしたいという思いを持っています。感情をうまく伝えることで人間関係をより深めることもできるのではないかと思います。
たとえば「怒り」という感情を伝える時を考えてみましょう。「私は怒っている」と、ストレートに自分の気持ちを表現する方法は、冷静に自分の気持ちを伝え、相手にとっても受け入れやすいといえます。「怒っている」と言わずに「黙れ!」など別の言葉で表す方法は、より直接的で伝わりやすくいきいきとしたやりとりが生まれる分、相手との衝突を起こしやすいともいえます。
「いつもそうなんだから」「そんなことしてくれなくてもよかったのに」と相手の行動や特徴などに焦点を当てた方法もあります。自分の気持ちは、相手に焦点を当てているため背後に隠されてしまっています。そのため、一見穏やかなようですが、相手にとっては自分を否定されたり、非難されているように感じやすくなります。
どの方法がよいか悪いかというのではなく、まず自分はどのような伝え方をしているのか?どのような伝え方が苦手なのか?それをまず考えることで、より豊かな人間関係を築くきっかけになると思うのです。
臨床心理カウンセラー:西川香代子
参考文献:南山短期大学人間関係科/監修 津村俊充・山口真人/編
人間関係トレーニング―私を育てる教育への人間学的アプローチ―
ナカニシヤ出版