はなぶさコラムス
当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。
今回は卵子や受精卵の凍結保存方法についてお話いたします。体外受精などでは受精卵が沢山育つことが多いのですが、多胎妊娠を避けるために子宮内に移植する 受精卵は通常1個か2個です。そのため受精卵が余ることがあるのですが廃棄してしまうのはもったいないことです。また、白血病などで骨髄移植を受ける方の 中には将来妊娠できるようにと、卵子の凍結を希望される方が増えています。このような状況から卵子や受精卵を凍結保存しておく技術の重要性が増していま す。
細胞のなかには沢山の水分があり、この水分が凍って 結晶を作ってしまうと細胞は破壊されてしまいます。そこで氷の結晶が出来ないような方法が開発され、超急速ガラス化法と呼ばれています。ガラス化とは液体 が結晶化することなく固体となることを言います。超急速ガラス化法では、細胞を脱水し、その後-196度に短時間で冷却、細胞内に残った水分は結晶を作る ことなくガラス状態となります。当院では、この方法によって凍結した受精卵を使って昨年は400人以上の患者様に妊娠成立を得ております。
執筆:院長 塩谷 雅英